発達障害とは

 平成17年4月に施行された発達障害者支援法では、「発達障害」とは「自閉症※1、アスペルガー症候群※1その他の広汎性発達障害※1、学習障害※2、注意欠如多動性障害※3その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。

※1 自閉症スペクトラム(ASD)と呼ばれることがあります。

※2 限局性学習症SLDと呼ばれることがあります。

※3 注意欠如・多動症やAD/HDと呼ばれることがあります。

 

※このHPでは、最新の診断マニュアルであるDSM-5に合わせて表記します。


それぞれの障害の特徴


●自閉スペクトラム症(ASD:アスペルガー症候群も含む)

有病率:1%(国立精神・神経医療研究センター)

A. 複数の状況で社会的コミュニケーション及び対人相互反応における持続的な欠如

 

(1)近すぎる対人距離や会話のやり取りが苦手です。また、感情の共有にも苦手さがあるなど、相互の対人的関わりに困難さがあります。

(2)非言語的コミュニケーション行動を理解したり用いたりすることに苦手さがあるため、たとえばアイコンタクトをとることや身ぶりの理解、身ぶりの使用に困難さがあります。また、顔の表情を読み取ることに対しても苦手さがあります。

(3)人間関係を発展させることに苦手さがあります。例えば、初めて会う人に対してなれなれしくしてしまうなど、社会的状況に合うように行動を調節することが苦手です。また、ごっこ遊びを友達と一緒にしたり友達を作ったりすることが非常に少ないこともあります。

B. 行動、興味、または行動の限定された反復様式

 

(1)おもちゃを一列に並べたり扉の開け閉めを繰り返したりするなど、常同的または反復的な身体の使い方や物の使用をすることがあります。また、CMやアニメ、ドラマのワンフレーズを繰り返したりすることもあります。

(2)同一性(同じであること)や習慣に対してこだわりがあり、ものごとの手順を変えることができなかったり、毎日同じ食べ物を食べたりすることがあります。予定の変更があるとパニックに陥ることがあります。

(3)興味に偏りがあり、幅も狭くなります。強い愛着があったり興味のあるおもちゃや遊びに没頭することがあります。

(4)感覚刺激の情報処理に苦手さがあり、転んでも泣かなかったり(過鈍)特定の音でパニックをおこしてしまったりする(過敏)ことがあります。

C. 上記の症状は発達早期に存在します。


●限局性学習症(Specific Learning Disorder : SLD)

有病率:2~3%(国立精神・神経医療研究センター)

 

 知的発達に明らかな遅れはないにもかかわらず、学習面で特異的なつまずきがあります。これらは医学的には、「読む」「書く」「計算」の困難、教育的には「聞く」「話す」「書く」「計算する」「推論する」の困難とされています。一般的には、読み書きはできるのに計算はできない(ディスカルキュリア)、逆に計算は得意なのに読み書きが非常に苦手(ディスレクシア)、といったあらわれになります。


注意欠如・多動症(Attention Deficit / Hyperactive Disorder : AD/HD)

有病率:2~3%(国立精神・神経医療研究センター

 

 不注意(集中できない、忘れ物やなくし物が多い)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(順番を待てない、考える前に行動してしまう、予定をブッキングさせてしまう)といった行動上の特性が強くあらわれてくるものです。不注意が主なタイプと多動・衝動性が主のタイプ、それぞれを合わせ持っているタイプの3つに分類されています。学齢期の特に男児では動きの多さが目立ちますが、成人期では不注意さが前面に出てくることで日常生活が円滑にいかなくなってしまうことが多いので、女性にも多く見られます。